グループワークとダイバーシティ

 

大学院の授業や研修などで行われるグループワーク。

 

グループワークでは少人数のメンバーがひとつのグループを形成し、何らかの「お題」に対して一緒になって議論や作業をして結果を出そうとします。

 

グループワークの結果はお題とメンバーの属性、メンバー構成に大きく影響を受けます。

 

極端なことを言えば、お題と構成メンバーの属性から考えて、最終的な結果が事前にある程度イメージできてしまう場合もあります。

 

それはお題とメンバーの親和性、構成するメンバーの同質性が高い場合です。

このようなときのグループワークはある意味順調に進んでいきます。

 

見聞き・経験したことのある分野のお題であれば良く知っていることなので、各メンバーがお題に対して不安や疑問を持つことは少ないです。

 

また、同じ企業・業界・職種など属性が近しいメンバーであれば、既にある程度共通した情報・認識(ある種の「常識」)をもっているので、メンバー間で意見の対立もあまり起きません。

 

しかし、その分、最終的な結果は独創性や新鮮味に欠ける傾向にあります。

 

これに対し、メンバーが提示されたお題に馴染みがなく、構成メンバーの属性もバラバラの場合、グループワークはなかなか思うようには進みません。

 

このとき、お題とメンバーとの乖離以上に、構成メンバーの属性の乖離が与える影響は大きいです。

 

なぜなら、メンバーの属性が多少異なっても何らかの共通性が見いだせれば、メンバー間にある種の「常識」が共有され、一種の連帯感を生み、馴染みのないお題に不安や戸惑いを感じつつも、無意識に一定方向に事態を向かわせてくれます。

 

ところが、メンバーの属性の乖離が大き過ぎるとそうはいきません。

拠り所とすべき「常識」はなかなか共有されず、連帯感も生まれず、馴染みのないお題に不安や戸惑いは増幅されるばかりです。

 

異なる企業・業界・職種のメンバーはそれぞれが持つ「常識」が異なります。一般用語と思われているような言葉の定義・ニュアンスからして皆が違うことがあります。こうした状況でのグループワークは、ある意味ちょっとした「カオス」になります。

  

議論や作業が進まないことに苛立ち、自分の意見が相手に通じないことに腹立ち、コンフリクトが生じます。時に喧嘩腰になってしまうこともあります。

 

カオスのまま時間切れになって、まともな結果が出せないこともありますが、このような多様な属性をもつメンバーで行われるグループワークからは、独創性や新鮮味のある結果も出てきます。

 

グループワークに見られるこうした傾向は、事業創造など新しい取り組みを検討する会議でもよく見られるのではないでしょうか?

 

新規事業を議論しているのに、いつも同じようなメンバー、似たような意見。

異なる部署の人間を集めてタスクフォースを作ってみたが、なかなか進まない。

 

このような場合、まだまだ同質性が高い可能性があります。

時代は大きく動いています。今までと同じような進め方ではうまくいきません。

 

「それなら流行りのオープンイノベーションだ!」として、社外から人材やアイデアを求めるケースも昨今増えています。

 

しかし、ベンチャーや異業種の企業と連携しようとしても、事業の進め方や企業文化が異なり、日本人同士でも(むしろ日本人同士だからこそ?)なかなかうまくいきません。

 

異質なものと向き合うにはそれなりのストレスがかかりますが、異質なものが複数集まれば多様性がもたらされます。

 

ダイバーシティ(多様性)と言う言葉は、女性や外国人の活用など限定的に、あるいは社会的な義務として受動的に捉えられる傾向がまだありますが、それでは有益性が薄れてしまいます。

 

なぜダイバーシティが必要なのか。

それは「異なる視点」を経営や事業の現場が求めているからではないでしょうか。

 

性別や国籍、年齢、置かれてきた(いる)環境などが異なれば、自ずともっている「常識」は異なり、「視点」も異なります。

 

異なる属性の人や組織が連携しようとしたとき、お互いの異なる「常識」からコンフリクトは生じやすくなりますが、異なる「視点」から新たな発見・アイデアも生まれやすくなります。

 

ただし、グループワークの場合と同様、多様性があるからといって結果が必ず良くなるとは限りませんし、とにかく多様な人を集めれば良いというものでもありません。

 

属性の違いは業界・職種などに限りません。

より良い結果を得ようと思えば、メンバー個人の性質にも留意する必要がありますし、運営上の工夫ももちろん必要になります。

 

いずれにしても、人は往々にして未知なるもの・異質なものに対しては拒否反応を示しがちですが、不安や戸惑い、苛立ちや腹立ちをもって対峙しているだけでは新たなものは生まれません。

 

「この際、カオスを楽しむ」くらいの心理的余裕をもって、事業創造に邁進して頂きたいと思っています。

 

事業創造にお困りの企業様のご相談にも応じております。

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