T&Iアソシエイツ代表の田中薫です。
何かを実行する際のプロセスをざっくり言うと、①意思決定→②試行錯誤→③学習→④本格的な実行、といった流れになります。
①から④へできるだけ速く移行したいところですが、最初の①で躓いてしまうことも多いのでは?①のための会議が試行錯誤(思考錯誤?)となってしまい、ここに時間をかけ過ぎて、次の過程になかなか入れない。
これは、①~④のプロセスが共有されていないことも影響していると思います。その結果、④を意識して失敗を恐れ、精度を重視し過ぎるために意思決定ができず②に進めない、といった状態を招くことになるからです。
お気づきの通り、実は意思決定は最初だけでなく、上述プロセスのなかで度々求められます。最初の①では「大きな目的のために小さくやることを決める」。実質的な検証に相当する②・➂の過程を経て、④の際に意思決定の精度が高められれば良いはずです。
今はプロセスのどこで、どのレベルの意思決定が求められているかが参加者に伝わらないと、会議のスピードは上がらないと思います。
会議招集の際、議題は参加者に提示されますが、議題の背景は参加者の情報量や認識度合に依存することが多いです。
参加者は会議当日まで背景を知らないうえに、自身に求められているもの(事前準備・当日すべきこと・役割)も結構曖昧な状態で参加させられていることがあります。
サラリーマン時代、常々思っていたことは会議の生産性の低さです。
本質的な目的やゴールイメージが曖昧で進まない会議を横目に、私が時々やっていたことは人件費の計算です。
一人当たりの大まかな時給×人数×会議時間(×会議回数)を考えれば、かなりのコストのはず。このコストに見合う効果は?参加者が他の活動に関われないことによる機会損失は?などなど考えているとじっとしていられません(苦笑)。
IT環境が進んだ昨今、情報共有を目的とする会議はさすがにないでしょう。
もしあるならば、その本質的な目的を踏まえたうえで、必要性の検証とITなど代替手段のご検討をお奨めします。
「会って議論をする」のが会議、「議題に対して論じる」のが議論。
会って議題に対して互いに論じ合い、スピーディに文脈を理解して、化学反応も起きて、メールやチャットでは得られない効果がないと会議の意味がありません。
会議終了時にどのような状態になっていて、参加者がその後どう動けばよいのか、といった会議のゴールイメージをできるだけ具体的にもつこと、そのイメージを参加者と共有することが大切と思います。
ゴールイメージから考えて、必要な人を最低限の人数で招集、議論の揺れを理解しながらゴールイメージに向けて進捗度を測り、建設的な議論を促進する。
当たり前のようでなかなか実行されていないのではないでしょうか?
勿論、形式的なゴールを意識し過ぎて予定調和ありきの議事進行では、化学反応の効果は薄れ、会議の意味が薄れることに留意は必要でしょう。
最近、生産性革命と言う言葉が盛んに取り上げられます。しかし、その生産性革命を議論する会議の生産性が低くては本末転倒。
「会議は踊る」から「会議は進む」になるには、会議の主催者・進行役・参加者が会議のテクニックとまではいかなくても、ちょっとした工夫とその共有が必要ではないでしょうか。