フレームワークと枠の外

 

T&Iアソシエイツ代表の田中薫です。

 

PESTSWOT、3C、4P、5forces7S、バリューチェーン、ビジネスモデル・キャンバスなどなどビジネスシーンで使われる様々なフレームワークがあります。

 

フレームワークはビジネススクールで教えたりもしていますが、数多あるビジネス書籍で学ぶこともできます。

 

学生や社会人、年齢層、職種等によってもまちまちですが、フレームワークに関して時々お聞きするのはこんな声です。

 

     フレームワークを使っていると、なんだか格好良さげに見える()

     フレームワークを使っていれば、なんとなく整理されているように感じる

     ビジネススクールの授業課題で指定されてor上司や先輩に言われてor本で読んで、使ってみたけれどなんだかピンとこない

     そもそもどこでどれを使えばよいのか、使い方がよくわからない

 

①はビジネススクール入学当初などにありがちな気もしますが()、使いながら「イケてる自分」になった気になる?のはやや危険な感じがしますね(^^;

 

②も結構あるのではないでしょうか?フレームワークのすべての項目が埋まったり、枠に綺麗に収まって見栄えがよくなったりすると、それだけでできた気になり、満足しまう。アウトプットとして見せられた方も一見良くできているように感じてしまう。これも危険な気がします。

 

➂や④については、ビジネス本をたくさん読んでいる勉強熱心なビジネスパーソンの方からもお聞きすることがあります。実際にフレームワークを使おうとすると、迷う、意外にうまく使えない、そんなケースです。

 

職種によってはなかなかフレームワークを使う機会がない方もあります。読書による知識に留めず、実際に使う体験によって得るものは大きいので、自社以外の事例も使いながら自分でとにかく手を動かして、いろんなフレームワークをたくさん試してみられると良いと思います。

 

実際に使ってみることでそれぞれのフレームワークの長所や短所、奥行みたいなものも実感できます。他のフレームワークとの関係性や使い分けなども理解しやすくなります。

 

ちなみに、個人的な感想としては、有名なフレームワークのなかにも「なかなか味わい深い」と感じるものもあればそうでないものもあります(あくまで個人の感想です())。

 

すごく話題になったけれど使いにくいもの、古典的でさほど注目されないけれど実はとても応用範囲が広いもの。こうしたものも実際に使っていく中で発見できたりします。

 

改めてフレームワークを使うメリットを考えてみると以下3つがあると思います。

 

・取り掛かりの速さ

・ヌケモレの防止

・図式化によるわかりやすさ

 

フレームワークを使う人、フレームワークを使ったアウトプットを見る人、上記3つはいずれも関係者の時間短縮に繋がります。

 

一方で、冒頭に挙げたような弊害も見受けられます。

そもそもフレームワークは使うことが目的ではなく、何かをするためのツールに過ぎません。

 

個人的にもうひとつ気になるのはフレームワークを使うことで思考が制約される懸念があることです。

 

フレームワークを使ってその枠内で思考を深めるのも良いですが、フレームワークの枠の外も意識しておく必要があると思います。

 

人間は枠があると枠の中を埋めたくなる枠があると枠の外を注視しなくなる傾向があるように感じます。

 

フレームワークを使うことで思考が狭くなるくらいならむしろ使わない、あるいは使うタイミングを意識する、ということもあってよいと思います。

 

フレームワークは他者が創ってくれた「型」のようなものです。

型を使うことで効率的に分析したり、説明したりできますが、一方で型の枠内にこぢんまりと収まってしまう懸念もあります。

 

それぞれの型には創られたプロセス、経緯、背景があり、前提と特性があると思います。

 

それらを踏まえていろんなフレームワークを臨機応変に使うことが求められるでしょうし、不十分なら既存のフレームワークを自分でアレンジする自分でフレームワークを創るということもあってよいはずです。

 

効果的に使えば便利なフレームワーク。

思考を深めつつも、視野を狭めることのないよう、うまく使いたいものです。

  

フレームワークを使いたいが自分ではなかなかそうした機会を作れない、ナビゲート的な研修が欲しい、などのご要望がございましたらお気軽にお問い合わせください。