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激変する環境下でテック系スタートアップに改めてオススメしたい一冊

 

T&Iアソシエイツの田中です。

 

ChatGPTの一般公開から3年。生成AIの急速な普及とともに、テック系スタートアップを取り巻く環境は大きく様変わりしました。OpenAIのようなスタートアップと、それらを取り込む形で動くMicrosoftやGoogle、NVIDIAなどの巨大テック企業(いわゆる“Magnificent 7”)の競争が激化。中国の動きも急速です。

 

これまでもスタートアップの世界はスピードが命でしたが、生成AI登場以降はその単位感覚すら変化しています。

従来「年単位」で語られていた技術選定や事業戦略は、今や「月単位」、場合によっては「日単位」での見直しが求められるようになりました。生成AIの進化は、単に業務効率化にとどまらず、起業や資金調達の前提すら塗り替えつつあります。

 

こうした不確実性の高い時代に、私が改めて起業志望者や支援者の方にお薦めしたいのが、ベン・ホロウィッツ著『HARD THINGS』です。この本は、単なる「成功する方法」ではなく、「苦しくてもやり抜く現実」に向き合った一冊です。起業後に待ち受ける葛藤や判断の連続、その“ヒリヒリする感覚”を疑似体験できる点で、ハウツー本とは一線を画します。ディープテック領域やIPOを目指すスタートアップ、そしてそれを支援する立場の方にもぜひ一読いただきたい内容です。

 

ChatGPTのプロトタイプが一般公開された2022年は、日本の「スタートアップ創出元年」でした。

日本政府が発表した「スタートアップ育成5か年計画」は、2027年までにスタートアップへの投資額を現在の約8,000億円から10兆円規模に拡大、ユニコーン企業(評価額10億ドル超の未上場企業)を100社、スタートアップを10万社創出、日本をアジア最大のスタートアップハブにすることを将来の目標としていました。

 

生成AI関連のスタートアップも、今後何社が生き残れるかは不透明です。

生成AI登場以前から活動しているAI、SaaS企業等も含め、前提が揺らぐ環境が続いています。

たった3年で環境は激変。官民とも前提を再確認のうえ、今後に向けた見直しが必要となりそうです。

 

VC出身者である私は、今でも起業希望者向けのセミナーやコンサルティングのご依頼を頂くことがあります。

起業にはいくつかのタイプがあり、自分に合ったスタイルやフェーズに応じた戦略が必要です。最近では「とりあえず生成AIを使って何かしたい」というご相談も増えていますが、本質的な課題はもっと根深い場合もあります。

起業の方向性に悩んでいる方、生成AI時代にどのようにキャリアや事業を設計すればよいか迷っている方は、お気軽にご相談ください。