T&Iアソシエイツの田中です。
旧知の人からスタートアップへの投資を持ち掛けられたら、あなたはどうしますか?
知人が奨めるスタートアップ企業の概要は以下です。
・市場拡大が見込まれるAI関連の話題のスタートアップ
・国内外の研究機関と共同研究を実施済
・メディアへの露出も多く、有望スタートアップとして選出されている
・同社サービスのユーザー数は急増、業績も急拡大、近い将来IPOを予定
・CEOはスタートアップ企業を複数経験済
・CFOは外資系大手証券会社の出身
・社外取締役・監査役は大手ベンチャーキャピタル出身者や公認会計士、弁護士
・本社は六本木、米国シリコンバレーにもオフィス
・IPOに必要な証券会社や監査法人とも接触済
・国内外の大手ベンチャーキャピタルや大手企業も出資済
投資を前向きに検討したいと思われた方は、この後、まず何をなさいますか?
1. 必要資金と振込口座の確認
2. 経営者との面談を依頼
3. その他
真っ先に1を選んだ方は一番危険です。2を選んだ方もご用心ください。
3を選ぶと同時に、ご自身が取る多くの行動をイメージできた方が投資に向くタイプと言えるでしょう。
上記のスタートアップの概要は先日、大幅な粉飾決算で上場廃止が決定したオルツという企業の概要を参考としたものです。
同社の主幹事は大手証券会社、当然、監査法人の監査も経ています。
同社の粉飾の手口は特別なものではありません。
私はベンチャーキャピタルで審査の仕事を長く経験しました。仕事柄、監査法人や証券会社の方々ともお付き合いがありました。
当時から監査や審査の仕事にいずれAIを導入したほうが良いと私は思っていました。
AIに学習させるデータには工夫をする必要がありますが、AIなら人間よりもバラツキを抑制でき、高速に対応できると思ったからです。
人間はAIの入出力にこれまでの経験と知恵をつぎ込めばよいと思ったのです。
現在、急速な進化で人間の仕事はどんどんAIに置換可能となっています。
一方で人間の思考習慣はそう簡単には変えられません。
未上場会社への株式投資は非常にリスクが高いです。粉飾企業や反社会的勢力等も混在しています。
特に「一般論から結論を導く」演繹的思考が強い方は注意された方が良いと思います。
投資家、監査法人や主幹事証券、ベンチャーキャピタルの担当者。AIを利用するようになったとしても最終的な責任を問われるのはすべて人間です。
生成AIの進化で改めて思うのは、株式投資もAIも上手に付き合うにはまず自分の思考特性を知っておくことが大切ということです。
投資だけでなく、日常の判断や意思決定でも、自分の思考のクセは現れます。
「自分はどんなタイプだろう?」と感じた方は、AX診断をご検討ください。
今回は、読者の皆さんの思考特性に気づいていただくことを目的にしました。
次回以降は、 “思考タイプ”から人間とAIの協働についてお伝えしていきたいと思います。