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AIでいい、AIがいい?

 

T&Iアソシエイツ代表の田中薫です。

 

「事を仕る」と買いて「仕事」。

人がやる仕事、AIがやる仕事。どちらに何をやってもらうかには、企業の意図や仕事の性質が影響すると思いますが、年始に改めて思う出来事がありました。

 

急ぎで欲しいものがあり、インターネットで探したところ、ある大手チェーン店のWebサイトでちょうど良さそうな商品を見つけました。

 

しかし、そこはまだ慌ただしい年始。

配送の問題があり、店頭に直接伺って購入した方が早く手に入りそう。しかも、まとまった数量欲しいのに人気商品なのか、Web画面上では在庫が怪しい様子。

 

①最寄店舗に在庫があるか?、②最寄店舗にない場合、在庫のある店舗で一番近いところはどこか?を確認しようと、コールセンターに電話しました。コールセンターの男性曰く、「各店舗に聞いてみないと分かりません。お客様の最寄店舗から電話させます」とのこと。

 

このとき、私の頭によぎった「???」は以下の通りです。

・なぜ店頭在庫がコールセンターの人にわからないのか?

・在庫管理システムが即時反映になっていない or 情報アクセス制限の問題?

・接客で忙しい店頭スタッフをフォローするのはコールセンターの人の仕事ではないの?

 

忙しい店頭スタッフの方になんだか申し訳ない気持ちで待っていたところ、最寄店舗の女性スタッフから電話があり、「当店に在庫はありません。」

 

「近隣に在庫のある店舗はありませんか?」とこちらから尋ねたところ、女性は電話の向こうでカシャカシャとPCで探してくれました。さらに「念のため」と私が伺う予定の店舗に電話をし、相手先のスタッフに実際の在庫を改めて確認、確実に私が受け取れるよう商品の取り置きを依頼してくれました。

 

お陰で翌日、店頭でスムーズに商品を受け取ることができました。

 

これに気を良くして()、同社Webサイトで前日IDとパスワードがうまく認識されずに困ったため、ついでに変更してもらおうとお聞きしたところ、「店頭ではできません」。

 

こちらは会員カードを持参しており、店頭スタッフはこちらの名前も住所も電話番号も認識していてPCも店頭にあるのに、管理者権限の問題か、Web関連の情報については確認も更新も顧客支援もできないようでした。

 

情報セキュリティの問題なのかもしれませんが、こちらはネットとリアルを行ったり来たり。結局面倒になり、それきりになっています。(次にこの会社から購入するときはそれまでのポイントなどは無視して、新規会員として登録し直す方が早そうです)

 

一連の出来事を通じて、忙しいなかこちらの事情を察して丁寧に電話対応してくれた最寄店舗の女性に感謝する一方、「Webサイトの画面にチャットボットなり、AIコンシェルジュなりがあれば、それで全部完結したのではないか」とも思いました。

 

①最寄店舗の在庫の有無、②在庫のある近隣店舗の検索、③受取店舗における在庫の確保、④ネットとリアルの顧客情報の統合、これらすべて人が介在せずに完結できたのではないかと。

 

今回はコールセンター、最寄店舗、受取店舗、少なくともスタッフ3人の時間がかかっています。塵も積もれば・・・ですよね?(しかも、問題解決に一番貢献してくれたのは最寄店舗の女性でした)

  

昨今の人手不足でどこの企業のスタッフも仕事に追われていることでしょう。

複雑化・多様化する競合環境・顧客の要求、それに対応する社員の労働環境の整備、両者のバランスに苦労されている企業は多いと思います。

 

ネットとリアル、サイバー空間とリアル空間が融合していくなか、AIでもロボットでも何でも、テクノロジーと向き合うことは業務の改善に留まらず、事業の改革・変革に繋がっていきます。

 

 テクノロジーの進化・活用にはマイナス面への配慮ももちろん必要ですが、個人や企業の存在意義・仕事・働き方・あり方そのものを見直す良い機会になると思うのです。