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新聞好きの気まぐれ投稿 ~楽天 三木谷さんのインタビュー記事から~

 

T&Iアソシエイツ代表の田中薫です。

 

楽天会長兼社長 三木谷浩史さんのインタビュー記事からピックアップ(2018/11/11、日経)。

 

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①「自分のようなクレイジーな人間はいない」

 

②「証券や銀行への参入は当初『バカじゃないの』と言われた。新しいサービスを始める際に批判ではなく、どういう可能性があるのか見て欲しい」

 

③「データを完全にオープンにし、アジアの『テックハブ』として米シリコンバレーに匹敵する都市を日本につくっていくチャンスだ。仮に保護主義の方向に行きたいのであれば、中国のような情報保護政策を取ればいい。日本の現在の政策はどっちつかずだ」

 

④「データエコノミーの分野でどういうことが起こりうるのか日本では議論すらない。」

 

⑤「移民政策も含めて国ごと開いてしまえ、日本全国シリコンバレーになってしまえと思う」

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以下、感想:

 

まず整理:①②は変化を起こす人や組織について。③④⑤は今のような大きな変化に対する向き合い方(国、企業、個人)について。

 

①:②を気にしているあたりからやはり三木谷さんはクレイジーではない。本当にクレイジーな人は人からの批判など気にしない。

 

昔からエリートでスマートな印象でご本人が言われるようなクレイジーさは感じない。傍からはある意味オーソドックスな企業に見える、今も昔も(多分そう見られたくはない?)。

 

②:経営者、リーダーは常に批判の目に晒される。どんな組織でも同じ。

 

何か新しいことをやろうとする人はその意義や内容、可能性を内外に説明する必要はあるが、それがイノベーティブであればあるほど多くの人は理解できないのだから、批判されたことを気にする必要は全くない。

 

ただし、批判の妥当性を自分なりに検証することは大切。

 

また、イノベーションを欲する組織の人々は、WHATをみて批判する前にWHYに注目すべき

 

自分の考えと異なるものや未知のものに遭遇したときには、すぐにレッテル貼りをせず、自らの固定観念、バイアスの存在を意識して、「なぜこの人や企業はこの製品や事業に取り組もうとしているのか?」というWHYに着目し、その背景を知ろうとすることにこそ意味がある。WHAT、HOWだけ見ても得るものは少ない。

 

ちなみに、ECをやっている楽天が決済に進出してもおかしくないし、三木谷さんは興銀出身で金融業は知らない畑ではない。ゆえに金融業への進出は驚くようなことではない。

 

ただし、三木谷さん自身、いろいろ問題のあった金融業を抱えた当初は金融事業に迷いもあったはず。前後のプロセスを想像すらせずに一時の動きや数字だけで批判することにあまり意味はない。

 

ニュースは何らかの切り口、視点で取り上げられ、極端に取り上げられることも多い。

 

人や企業を持ち上げたり下げたりもいつものこと。残念ながら、そうしないと部数も視聴者数も伸びない(収益にならない)傾向もある。自ずと安易なわかりやすさ、極端さに走りがち。

 

情報に翻弄されず、冷静に受け止めることが大切。

 

「フェイスブックはインスタグラムを買収していなかったらどうなっていたのか。」

今のフェースブックだけをみて一喜一憂するよりその前後を見るべし。

 

③⑤:③はどっちつかずに見える日本の政策に対して、三木谷さんが2つの方向性を提示したもの。だが真新しいと思う人は少ないであろう?選択肢。⑤は➂のうち三木谷さんが良いとする日本の政策。

 

考え方は人それぞれ。 

ただし、シリコンバレーばかりを是とする、強調するのもこれまたひとつのレッテル、固定観念、バイアス、視野狭窄にも見える。

 

米国と中国を対立軸として示しているため、両者の違いは読み手になんとなく伝わるかもしれないが、両者の類似性への言及はここにはない。

 

何事もメリットとデメリット、光と陰がある。この難しいバランスを考え、図るのが各分野のリーダーが行うマネジメントというものだろう。

 

いつ時点の、誰にとっての最適とするのか、それはなぜ(WHY)か

 

また、対立軸というものは、設けることで議論を分かりやすくする意味はあるものの、極論に走りやすくなるのも世の習い。もっといえば、その軸でよいのかという前提を疑う意識もあってよいはず。

 

と、またついつい悪い癖で長くなり(^^;、で、オチは④?(笑)。

 

議論の有無や深さは人や組織の立場や持っている情報量によって違うだろうが、今何が起きていて今後どんなことが考えられるのかを議論することは大切。

 

ただし、「踊る会議」に意味はない。

 

いつまでも「会議は踊る、されど進まず」ではナポレオンが上陸して来ようというもの。

 

以前、「No borderと世に問う力」という題で書いたが、世に問う力には「自らに問う力」が欠かせない。自分(自社)はどうなりたいのか、それはなぜか(WHY)

 

問に終わりはない。