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新聞好きの気まぐれ投稿-ネスレ日本 高岡社長の記事から

 

昨日の日経新聞、ネスレ日本、高岡浩三さんのご発言は概ね同感なのだが、ちょっと気になったところをピックアップ。

 

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① 「世間は人手不足と言うけど、むしろ人余りだと思う。ロボット化、人工知能(AI)化が進む中でホワイトカラーが今後、余剰になる」

② 「企業は高度成長型の経営から抜け切れていない」

③ 「そもそも人は考えることを嫌う」

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以下、感想:

 

①:全体的に中長期の目線で見れば同感。むしろ、今国会の外国人への門戸開放に関する議論も、“今”という目先の問題(人手不足)を議論しており、中長期の問題の整理や議論、特にITの進化を踏まえた議論は弱いように見える。

 

一方で、高岡さんの言われる「人余り」は大手企業の問題であり、中小企業ではずっと人手不足である。企業数では圧倒的に中小企業が多いわけで、人余りは少数の大手企業がまず考えるべき問題である。

 

ちなみに、ちょっと記憶は怪しいが、政策論議で中長期の視点が欠けた事例として思い出すのは医師。大昔、医者はボロ儲けし過ぎ、増え過ぎだとメディアも含めて叩いて、医学部や医者の数に対する制約を課した時代があったと記憶する。その後、医師不足が騒がれたのは何だったのか。AIの進展により、診断領域では医師が余ることも今後はあるだろう。

 

どこの何が過剰or不足か細部を丁寧に見ずに大雑把な議論だけしていると、まともな解に辿りつけないのはどこの国も組織もいつの時代も同じだ。

 

いずれにしても「偏在」の修正がポイントだろう。ある時期、ある地域、ある企業、ある部門、ある技能といった偏在を鳥の目、虫の目、魚の目で柔軟に考えて対応することが求められるだろう。

 

②:高岡さんの発言と、同氏らにインタビューした日経記者の視点は相通ずる。記者の視点は「バブル崩壊後、隆盛を誇ったニッポンの会社は競争力を落とし、不祥事が相次いでいる。主な原因は成功体験の呪縛が強く、組織や働き方が硬直的だからだ」というものである。

 

どちらも、高度成長期やバブルのときの経験を成功体験としているのだろうが、その時代を過ごしていない人にはイメージは沸かない。これらは実際に経験したorその名残を経験した人の視点である。

 

成功体験なるものを持つ人たちが変化に対応するのが先か、持たない人たちが変化を起こすのが先か。普通に考えれば後者が優位だ。最近大手企業に関心の高いスタートアップ企業(昔で言うベンチャー企業)は後者。

 

後者が前者を駆逐するということも考えられるが、前者が現実を受け止め、謙虚になれれば、後者との融合によりイノベーションに繋がる可能性はあるだろう。

 

③:多くの人は考えることを嫌ってはいないだろう。考える時間や機会がないorなかっただけだ。そしてそれは歴代経営者の問題だろう。

 

人は考える生き物である。大手企業の人たちだって考えてこなかったわけではない。考える対象や範囲が変わったことに対応できていないだけだ。

 

同じ会社の、同じ部署で、同じような顧客向けに、同じような商品を売っていたら、新しい発想なんて出てこない。商品の変化や部署の移動が多少あったところで知れている。商品の拡大、エリアの拡大でも考える範囲は限定的だ。

 

“井の中の蛙大海を知らず”になってしまう。今、考えなければいけない範囲は従来とは異なる。大海は日本海や太平洋どころではなく、宇宙まで広がるくらいの発想が求められる。一直線、二次元のような思考では追い付かない。枠を設けず縦横無尽に思考を飛ばせるくらいの勢いが必要だろう。

 

 

おわりに:

 

同じようにバブル時代を経験していても、中小企業の後継者のなかには成功体験を引きずっている暇などなく、答えのない問にずっと向き合い続け、経営を革新してきた中小企業の経営者が存在する。

 

上記記事は「ポスト平成の会社像は」というテーマで経営者と識者(と言われる人?)に問題点と再生の条件を問う、というものであったが、「誰かがなんとかしてくれる余裕のあった大手企業を前提とするものであることは改めて確認できる。

 

変化に敏感な中小企業の経営者は、伝統的な企業であろうと若い人が興したベンチャー企業(最近で言うスタートアップ企業)であろうと、常に考え、動いている。今こそ大手企業の人たちはこういう人たちから学ぶべきだ。

 

新旧の中小企業の経営者はみな自分(自社)に対して問い続け、答えのない問と向き合い、社会を丁寧に観察しながら問題を発見し、課題に変えて、解決に向けて、ずっと考え続け、ひたすら努力し続けている人たちなのだから。

 

補足すると、中小企業のなかでも変化にうまく対応できず、「諦めモード」「他人任せ」になっている企業の経営はうまくいっていない。これは企業に限った話でもない。

 

大手でも中小でも「自分事」にできているかがポイントだ。自分事にできたところで、しかもそれは始まりに過ぎない。スタートラインに立つだけだ。でも立たなければ何も始まらない。流されるだけだ。