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新聞深読:教科書を信じるな!-柳井正氏インタビュー記事から

 

先日、日経朝刊(2019/1/13 「未踏に挑む」の欄)にファーストリテイリング会長兼社長 柳井正氏(以下、同氏)のインタビュー記事がありました。

 

個人的にほぼ同感の内容だったので、改めて取り上げてみたいと考えました。

以下、ご発言を引用しながら。

 

これからは情報産業とサービス業だけになる。小売業もなくなる」(同氏)

 

情報産業とサービス業をどう捉えるかという点はともかく、同氏のご発言からは自社、日本企業、日本への危機感、問題意識が強く滲み出ているのを感じます。そうした危機感は同感です。

 

店はすべて建て替えないといけないかもしれない」(同氏)

店舗を標準化するチェーンストア時代は終わった」(同氏)

 

ネットを通じて誰もがどこにいても何でも買える時代に「なぜリアルな店舗が必要か?」を同社も問い直しています。

 

今度は小売業がデジタル企業を買うことも出てくる」(同氏)

 

アマゾンやアリババといった米中の大手デジタル企業(IT企業)がリアル店舗を持つ企業(小売業)を買収しているが、今後はその逆もありうるというお話です。

 

このお話、先日の武田薬品のM&Aに関して書いたブログと参照して頂きたいところです。

日本では一部の企業を除き、どうも同業間の買収が目につきます。

 

業種業界の垣根、リアルとサイバーの垣根を超えた競争がとうに始まっているのにこれではいけません。視点が違う視野が狭い、これは視座が固まっていないからと考えます。

 

なぜ買収なのか?なぜこの会社を買収するのか?

投資銀行任せ、M&A関係業者をただ潤わせるだけの、狭い視野での買収戦略になっていないでしょうか?

 

日本企業は新しい世界に踏み出していない」(同氏)

 

中国など他国でも同様の傾向はありますが、米国の例に倣って日本で展開するベンチャー企業は多いです(同氏の言われる「よそのコピー」)。

 

良くも悪くも課題先進国なのですから、これを機に日本独自のモデルで世界に展開しようとする企業が沢山出てきて欲しいのに、「政府中心の思考ばかり(同氏)」でなかなか目立った動きが見つかりません。(まだ目立ってはいないけれど、そうした動きが水面下で実は進んでいることを個人的には期待したいですが)

 

日本だけが特別だと思っていることが一番の問題だ」(同氏)

 

「〇〇だけが特別」というのはよく聞く言葉です。

「日本だけ」を「うちの業界だけ」「うちの会社だけ」にするとわかりやすい。

 

「うちは特別」と仰る経営者の方は多いですが、いろんな企業、業種など横断的に見ている人間からすると「特別」はそうはありません。業種業界、国などに関係なく、共通することも意外と多いものです。

 

ブログでも度々触れていますが、今は世界同時多発的に起きることも多い。日本だけ、うちだけはなかなか通じないでしょう。ただ、独創性という特別は持っていたいものですが。

 

教科書を信じるな」(同氏)

 

同感です。

教科書はあくまで「ある時点において、ある条件下で、適切とされたもの」として参考にするくらいに思っていたほうが良いと個人的には思っています。教科書は過去起点のレディメイド(既製品)であり、変化の激しい時代にこれだけで対応するのは困難です。

 

学者やコンサルタントなど専門家がいう「べき論」も同じでしょう。先生や専門家が間違っているとか悪いとか批判をしたいのではなく、そもそもそういう限界をもったものだということを認識しておく必要性を改めて示したいだけです。この点についても過去にブログ(答えは「内」にある-舶来品珍重主義との別れ)で書いています。

 

教科書以上の答えを出せ」(同氏)

 

文脈から、同氏は「教科書には答えが書いてある」という前提で仰っているものと思います。

だとすると、「教科書他者から与えられる答えを信じるのではなく、自分の頭で考えて自分なりの答えを出せ」と仰っているのでしょう。極めて同感です。

 

同氏のお話をさらに一歩進めて、「教科書にはお題と問と答えが書いてある」という前提で私なりに言わせて頂くと、「答えを考える前に問を疑え!」になります。

 

そしてさらに、「自分でお題を考え、自分で問を立て、自分で答えを考えることがとても重要」になってきていると考えます。

 

同氏は、日本でアマゾンやグーグルのような企業が生まれない理由を問われて、「自分で考えないから(同氏)」、AIが経営にもたらす影響について問われて、「社員には、AI導入を考える前に自分の頭脳を鍛えて欲しいと話している(同氏)」と答えておられます。

 

これらのお答えから、生意気ながら私が一歩進めて申し上げたこととほぼ同じようなお考えではないかと推察しました。

 

同氏はノーベル賞を受賞した本庶佑先生の6つのCが重要と言われました。

 

本庶佑先生は6つのCで大切なことをこのように仰っています。

 

Curiosity(好奇心)を忘れず、Courage(勇気)を持って困難な問題にChallenge(挑戦)し、必ずできるというConfidence(確信)を持ち、全精力をConcentrate(集中)して、諦めずにContinuation(継続)させること」

 

T&Iアソシエイツは、好奇心旺盛なコンサルタントが挑戦する人や組織を応援しています。

不確実性が高まる世界で挑戦するには勇気が要ります。確信を持ち、集中して諦めずに継続するには腹落ちしたストーリーとコンセプトが必要です。

 

 T&IアソシエイツはWHY思考のコンサルタントが、過去起点(フォアキャスティング)ではない、レディメイド(既製品)の教科書通りの指導でもない、内発的な勇気に繋がるコンサルティングをご提供しています。

 

<ご参考>

 ・「まだ」医薬品を作っている武田薬品

答えは「内」にある-舶来品珍重主義との別れ