T&Iアソシエイツの田中です。
先日、株式会社 経営共創基盤、IGPIグループ会長の冨山 和彦氏の講演を拝聴する機会がありました。
世界や産業、テクノロジーの変化、AI時代の働き方、求められる人材などのお話を聞きながら、9年程前に在籍していた大学院のとある授業の1シーンを思い出しました。
ある教授が授業の中で、「AIでコンサルタントの仕事はなくなると思うか?」と、コンサルタント志望者が多い大学院生に質問しました。
教授は「Yes/No」で学生に挙手を求めましたが1回目の反応が悪かったため、同じ質問を2回行いました。
私は1回目に挙手をせず、2回目に渋々「なくならないと思う」方に手を挙げました。
1回目に挙手をしなかったのは「質問が適切でない」と考えたことが理由でした。
2回目に手を挙げたのは私にしては珍しく(笑)、場の空気を読んだから、でした。
本当は「上に手を挙げる」のではなく、「横に手を挙げたかった」のです(笑)
そのとき私は次のように思考していたため、そもそも挙手は難しく、教授の質問もまた適切ではないと考えていました。
A:「○○のような状況で、○○のようなコンサルタントであれば、AIで代替可能。コンサルタントの仕事はなくなる」
B:「○○のような状況で、○○のようなコンサルタントであれば、コンサルタントの仕事は残る」
しかし、「Aのような状況でも顧客が○○で、コンサルタントが○○であれば、コンサルタントの仕事は存在する」
さらに「AIは今後も加速度的に進化する」、それを前提にすると、「○○のような時点では、○○のような仕事はなくなり、○○のような仕事は残る。そして○○のような時点になると、○○のような仕事がまたなくなり、○○のような仕事が残る。また、○○のような仕事が生まれる」、そんなことも考えていました。
私はそもそも世界史が好きで、時間軸を長く捉えて思考する習慣があります。
ベンチャーキャピタルの審査部門で多種多様な業界・企業、新しいTechnologyに遭遇し、産業と企業の変遷、社会の変化も観てきました。
Technologyというものは、ブレイクスルーとなる出来事で一足飛びに状況を激変させることがあることも知っていました。
その状況を創り出すベンチャー企業(今でいうスタートアップ)のスピード感も知っていました。
ゆえに、その時点でのTechnologyの水準で判断すること、2択の質問で学生の思考や視野を狭めてしまうことは意味がないと思っていたのです。
教授の質問は、当時の背景を踏まえたものでした。
その頃、英オックスフォード大学のオズボーン准教授らと野村総合研究所が「日本の労働人口の49%がAIやロボットで代替可能になる」といった研究報告を公開、「AIでなくなる仕事、なくならない仕事」といった話題がメディアでも取り上げられていました。
あれから10年弱の時が流れ、ChatGPTを始め、人間の話す自然言語で幅広い対応力を示す生成AIが多数登場しています。
コンサルタントの仕事で「不要」、「なくなっていく」と考えられるものは既に多数あり、今後も増えていきます。
私は生成AIやDXの講演・研修の場でお客様に次のようにお伝えしています。
「業界分析や定量データの整理、簡易な事業計画の作成といった業務のために、高額なコンサルタント料を払う必要はありません。それよりも、個人や組織の潜在力を引き出すような本質的な変化のために、"人間"コンサルタントとお金をお使いください」
皆様は、文中の「○○」にどのような言葉が入ると思いますか?
皆様のお仕事、働き方は進化するAIで今後どう変わっていくと思われますか?
回答が思いつかない方、ご自身の仕事の価値を改めて整理したい方や、AI時代への不安がある方は、ぜひAX診断をお受け下さい。診断では、貴社・貴方の特性や強みを可視化することで、今後の経営、組織・人材づくり、働き方のヒントを提供します。
冒頭の冨山氏のご講演ですが、大変僭越ながら、T&Iアソシエイツという屋号でこれまでお客様にお伝えしてきたことが間違っていなかったと実感でき、大変嬉しく共感しながらお話を伺いました。
T&Iアソシエイツは今後もTechnologyとIssueを紐づけて、人間の潜在力を顕在化(見えないチカラを見えるカタチに)するお手伝いをして参ります。個人と企業の挑戦をご支援することで持続的な成長を共に実現して参ります。