アートをビジネスに実装するうえで欠かせない視点~イノベーション創出を期待する前に必要なこと

 

T&Iアソシエイツ代表の田中 薫です。

 

前回のコラムでは「今、なぜアートなのか?」と題して、日本で「イノベーションが起きにくい」理由をアート鑑賞のタイプと関連付けてお伝えしました。

 

今回は「イノベーションが起きやすくなる」うえでアートがどう役立つかについて書いてみます。

 

多くの企業がイノベーティブ(革新的)な事業創造、そうした事業創造に繋がる発想力を持った人財を求めています。しかし、イノベーションは頻繁に/簡単に起こらないからこそイノベーティブですし、真に豊かな発想力を持つ人は組織に囚われることをあまり好まない傾向にあります。

 

少子高齢、人口減少社会では尚更そうした人財の確保は難しくなるでしょう。では既存の組織、人材でイノベーションを起こすにはどうしたらよいでしょうか?

 

実は「イノベーションを起こす」ことに躍起になる割に「イノベーションが自然に起こりやすい」環境をつくっている企業、組織は意外と少ないです。

 

イノベーションが自然に起こりやすい環境とはどのようなものでしょうか?一言でいえば自由で創造性を刺激するような環境と言えるでしょう。

 

近年、大手企業でもベンチャー企業を模してオフィス環境や服装を変えてきています。ではTシャツを着たら急にイノベーティブになれるか、発想豊かになれるかというとそうではないですよね?

 

形から入ることが必ずしも悪いわけではありませんが、肝心なことを見落とすと効果は産まれにくいものです。肝心なこととは何か?

 

それは人の間にある「心理」です。人は本能的に自分を守り、リスクを恐れます。

 

こんなことを言ったら/やったら怒られるのではないか、馬鹿にされるのではないか、否定される、低い評価や罰則を受けるのではないか、そのような心理的不安を抱える場では人は無意識or意識的に自由な言動を控えます。

 

心理的に安全な場心理的安全性が創られて初めて人は自由に発言、質問、突飛なアイデアの披露という積極的なリスクを取る(Active Risk Taking)ことができるのです。

 

「心理的安全性」を担保したからといって必ずイノベーションが起きるわけではないですが、心理的安全性がない場からはイノベーティブな事業創造、それに繋がるビジネスアイデア、豊かな発想も生まれません。

 

心理的安全性はイノベーション創出の十分条件ではないが必要条件ではあると言ってよいのではないでしょうか?

 

心理的に安全な場がオープンマインドへの変化コミュニケーションの良化フラットな関係性の構築を促します。これらは発想や創造に繋がる土壌となります。アートをビジネスに活用する最初の意義がこの土壌づくりです。T&Iアソシエイツではこの土壌づくりからご支援します。

 

アートを飾ったからといって心理的安全性が勝手に作られるわけではありません。適切なアートを選び、心理的安全性を醸成するのが「アートコンシェルジュ」です。

 

用いるアートも何でも良いわけではありません。巨匠のアートでは美術の知見の有無や固定観念がオープンマインドやフラットな関係性の構築を邪魔します。誰も知らない、誰の評価もついていない、自由で独創的なアートが人の心をオープンに、自由にします。

 

土壌が悪いまま何かを植えようとしても種は芽を出さないし、苗も根付きません。土壌をつくり、定期的に手を入れる。そうしてようやく潜在能力が引き出される土壌が出来上がります。

 

T&Iアソシエイツは豊かな土壌に植物が根付くご支援をする、これがアートで引き出す潜在能力プログラムです。使うアートは障がいのあるアーティストが描いた誰も知らない、自由で独創的なアートです。

 

アートは企業や学校に持ち込むことができ、レンタルも行っています。アート・レンタルでは定期的にアートを交換します。その際、土壌の手入れと種や苗の状況に合った研修をプログラムとしてご提供します。こうした丁寧な積み上げによって豊かな土壌づくりと植物の成長に繋げます。

 

T&Iアソシエイツがアートをビジネスに実装する第一歩は「心理的安全性」から始まります。

 

なお、この研修プログラムおよびアート・レンタルの収益の一部は障がいのあるアーティストに還元されます。

 

※宜しければ以下もご参照ください。

今、なぜアートなのか?