コロナ騒動に見るリーダーのコミュニケーション術~その①

 

TIアソシエイツ代表の田中 薫です。

 

コロナ騒動では国内外のリーダーのコミュニケーションの違いがよく表れています。

新型コロナウィルスという未知の脅威、危機的な状況下におかれたとき、リーダーは何をどう伝えればよいのでしょうか?

 

危機下におけるリーダーのコミュニケーションには何が必要か?3回に分けて考えてみます。

 

ところで、コミュニケーションとはそもそも何でしょうか?

 

コミュニケーションは送り手から受け手へ情報が伝達する過程であり、①送り手、②受け手、③メッセージ、④チャネル、➄効果という5つの要素で構成されます。

 

危機に遭遇したとき、リーダーはその影響を軽減するために人々に適切な行動を促す必要があります。リーダーは情報の送り手として受け手に対し、“こんな風にして欲しい”という何らかの効果(行動変容)を期待して、適切なチャネル(伝達経路)で適切なメッセージを送ることが求められます。

 

新型コロナウィルスでは第一に感染拡大を防止する必要がありました。

感染拡大の防止には人々の行動を平時とは変えてもらう(行動変容)必要がありました。

これに対し、各国・各組織のリーダーはどのようにメッセージを送ったでしょうか?

 

例えば、ニューヨーク州のクオモ知事は一方向でメッセージを伝えるときでも人々に語りかけるように話し、厳しい現状を伝えつつもその現状を支えてくれる医療従事者などエッセンシャルワーカーに対する謝意と敬意を繰り返しました。こうした姿勢が人々の支持を得ました。

 

デンマークのフレデリクセン首相は「子どものための記者会見」を開き、子供たちの質問に双方向で答えました。子供を大人の指示に従わせるのではなく、子供も社会を構成する一人として尊重し、協力を求め対等な立場で目線を共有して、子供たちの素朴な疑問に丁寧に答える首相の姿勢は多様な人々への配慮や首相の人柄を滲ませ、人々の共感を呼びました。

 

内外のリーダーのコミュニケーションをみるとき、以下の3点に注意して見てみてください。

    伝え方(一方向・双方向)

    伝える内容(事実・見解、依頼・要望、見通し・展望)

    伝える姿勢(配慮、共感、人柄)

 

コミュニケーションでは伝える内容(何を伝えるか?)に意識が向きがちですが、支持されているリーダーの例を見ていると伝え方や伝える姿勢(どう伝えるか?)がとても大切とわかります。

 

コミュニケーションは言語と非言語で成り立っています。

非言語的コミュニケーションとは話し方や話すスピード、声の大きさや高さ、抑揚、間の取り方、表情、身体の姿勢、身振り手振りなどです。

 

伝える内容は言語的コミュニケーション、伝え方や伝える姿勢は非言語的コミュニケーションと言えます。

 

非言語的コミュニケーションは送り手も受け手も無意識であることが多いです。

無意識であるがゆえに送り手であるリーダーの状態や人柄をよく表します。

 

危機下において不安と不満を持つ人々は平時以上にリーダーを見つめ、リーダーの言葉、一挙手一投足を注視していますから、非言語的コミュニケーションから受ける影響も大きくなりやすいです。

 

受け手である人々はリーダーが伝える内容(言語的コミュニケーション)以上に、リーダーの伝え方や伝える姿勢(非言語的コミュニケーション)から無意識に多くのメッセージを受け取っています。

 

大きな犠牲を伴う行動変容には人々の共感や支持が必要です。

 

望んでいる効果がなかなか得られないとき、リーダーは自らが無意識に発している非言語的コミュニケーションによって、誤ったメッセージを人々に送ってしまっていないか検証する必要があるでしょう。

 

危機下のリーダーには、このようなコミュニケーションの性質と受け手である人々の状態を踏まえて適時適切なメッセージを送って頂きたいと思います。

 

次回は「何を伝えるか」、伝える内容、言語的コミュニケーションについて考えます。

 

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危機下にこそ求められるリーダーのコミュニケーション術。

コミュニケーション次第で成果も大きく変わります。

 

ご自身のコミュニケーション、この機会に見つめ直してみませんか?

 

“今までなんとなくやってきたけれど、このコミュニケーションでいいのかな?”“なんかうまく伝わってないなぁ”と思ったら、社員やスタッフへ送るメッセージを5分程度の動画にしてスマホ等で撮影して送ってください。無償でコメントさせて頂きます。動画の送信・共有等についてはこちらからお問い合わせください。

 

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宜しければ、以下のコラムもご参照ください。

・“伝える”を“伝わる”に変える翻訳