コンサルタントに頼む、その前に・・・その3

 

T&Iアソシエイツ代表の田中薫です。

 

前々回(その1)はコンサルタントを探す上でのヒント、前回(その2)はコンサルタントを選ぶ上でのヒントを書きました。

 

今回(その3)は、コンサルタントと付き合う上でのヒントについて書いてみたいと思います。

 

前回、クライアント(発注者)とコンサルタント(受注者)の関係は、患者と医師の関係に似ていると書きました。

 

多忙な毎日、日常生活に特に支障がない限り、病院やクリニックには行く人は稀です。多くの人は症状が出てから医師を訪ねます。

 

すぐに治る病気であればそれで良いのですが、重篤な病気であれば手遅れになってしまうこともあります。

 

重篤な病気の場合、その状態から対応を考えるのはとても大変です。

 

病気が重ければ重いほど心理的ショックは大きいのに、考えなければいけないことが沢山あります。時間との戦いのなかで、素早い意思決定を求められることもあります。

 

現在の病状、今後の経過、回復の可能性、治療の選択肢、選択肢それぞれのメリット・デメリット、自分との適合性、セカンドオピニオン(他の医療機関・医師に求める第二の意見)の必要性、今かかっている医療機関・医師の妥当性など、家族や仕事への影響も考えながら、検討しなければなりません。

 

しかも今は、医療技術の進展により様々な病気がわかるようになり、ひとつの病気に対する医療上の選択肢も増えています。不確かな情報も含め、ネットには情報が溢れてもいます。

 

病気の不安を抱えるなか、患者が自分にとって必要な医療を速やかに主体的に選ぶ難しさは増しています。医療用語、専門用語に翻弄され、患者は心も体も疲弊してしまいます。

 

病気は「早期発見→早期治療→早期回復」が一番です。

早期発見には健康診断や人間ドックによる定期的なチェックが必要です。

 

定期健診を受ければ、医師から健康維持・増強のための助言も得られます。

 

良質な医療は、医師が一方的に提供するものではなく、患者と医師との信頼関係と互いの努力のうえに成り立ちます。

 

信頼関係は一朝一夕には築けません。

 

余裕がある健康な時にこそ、信頼できる医師をかかりつけ医として探して選んでおき、日頃からお付き合いすることで、いざという時の安心が得られます。

 

同じことが経営においても言えます。

 

ひどく経営が悪化してから対応策を考える、コンサルタントのような専門家を探すのは心身ともに大変です。

 

資金繰りへの不安などから慌てて探そうとしても、信頼できるコンサルタントはすぐには見つかりません。

 

厳しい状況に追い込まれているときは冷静な判断が難しく、怪しいコンサルタントに多額の支払いを求められ、さらに経営の悪化を招くことにもなりかねません。

 

余裕がある時にこそ、信頼できるコンサルタントをパートナーとして探し、選び、確保して、定期的に助言を得ながら、関係を深めておかれることをお勧めします。

 

ちなみに、T&Iアソシエイツが目指しているのは、医療でいう「プライマリ・ケア」、家庭医、かかりつけ医みたいな存在です。

 

かかりつけ医は専門性にこだわらず、全体的な視点から問題の仕分けを行う、いわゆる総合医(総合診療医)です。

  

もちろん、診断も治療もしますが、かかりつけ医は必要に応じて専門医も紹介します。

 

医療の世界では高度化に伴い、特定の臓器(循環器、消化器など)や特定の病気(リウマチ、ガンなど)の専門性が高まり、多くの専門医が存在しています。

  

しかし、人体は複雑なシステム、ネットワークによって成り立っていて、患者の身体全体、もっと言えば、患者を取り巻く周囲、地域全体を診ることの重要性が増しているのです。

 

そうした背景から、総合医の必要性が高まっています。

  

医療同様、経営の世界でも、部分ではなく、全体を診ることがより重要になっていると私は考えています。

 

 

※前回のブログ(「コンサルタントに頼む、その前に・・・その2」)はこちらから。

※前々回のブログ(「コンサルタントに頼む、その前に・・・その1」)はこちらから。

※昨年末(12/28)のブログ「外部資源を効果的に活用するためのヒント」もご参照ください。